〈解説〉比で考える
フェアなコインを何回も投げると
コインを何回か投げたとき、たとえ表の出る確率が0.5であるコインであっても、つまり表と裏が同じくらいに出やすいコインであっても、実際に同じ回数だけ表と裏が出ることはまれです。しかし、大数の法則というのがあるのだから、投げる回数を増やしていけば、いつかは表の出た回数と裏の出た回数の「差」が0になるのだろう、と期待してしまいますが、残念ながらそうはなりません。大数の法則は、表の出る「割合」つまり「相対度数」が、表の出る「確率」に近づいていくと言っているのであり、「差」が0になっていくと言っているのではないのです。
つまり、表が出た回数と裏が出た回数との「比」で考えるのであって、回数の「差」で考えるのではないのです。このシミュレーションでは、コンピュータ上でコインと同じような動作をするプログラムを実行し、コインを投げる回数が多くなっても、表が出た回数と裏の出た回数の「差」は、0に近づくわけではないことを示します。